勉強 暗記

いつも解ける問題がテストで解けない謎に迫る

※これは大学生の頃、塾講師仲間と議論した内容です。

 

大学生の頃、理系のため実験漬けの毎日。

 

だいたいの実験は待ちが多い。

 

実際に夜な夜な大学に宿泊することもあった。

1時間に一度、作業をするような実験も多い。

遠心分離機の横で立ち尽くしたところで何も生まれない。

ポストの前でハガキを投函してなんかお祈りしている人と同じ。

 

待ちの間にいつも通り本を読んでいると、一度も話したことのない、北大阪で個別指導講師をしている同じ学科の人(Sさん)が私に話しかけてきた。

 

あのー。ひとつ質問いいですか?と。

 

当時、学習塾で仕事をしていて某有名予備校で塾講師をしていたこともあり、塾講師の仕事について聞かれることはよくあった。

塾講師の仕事は大学に入学してからすぐに始め、経験を積みたかったのと自分の知らない地域のことも知りたかったので、当初から3つの塾で授業をし、残り2つに関しては、近隣から声をかけられた塾。

塾業界は努力すれば上に行けるのでおもしろい。

まぁ、正直独立してからは、当時は恵まれていたなぁと感じることもある。

 

それはさておき、Sさんは、先日生徒からこんな質問が来たんです、と切り出した。

こんなこといつもならちゃんとできるのにテストになるとできなくなることがあると。

その理由をその子に教えてあげたいけど、どう思いますか?って。

 

学校の先生にはケアレスミスだから気にするなと言われたらしい。

確かに時間があれば間違いに気づいたかもしれないなとも。

しかしSさんは納得できないと何度も私に尋ねてくる。

 

実験中、実験室の中はうるさいので音楽を聞きながら本を読んだり、塾の授業準備をしたりすることが多かったので、正直鬱陶しいなと思っていた。

それに気づいたのか、忙しそうだね。急に聞いてごめんねと、Sさんは自分の机の所に戻った。

 

まあいいかと思って音楽を聞き始めて本を開いても本の内容がまったく入ってこない。

何か気になっている。感じ悪かったもんな。嫌われちゃったかな。

いや、別に人に嫌われるのには慣れている。

 

気になっているのはSさんからの疑問であることに気付くのにそう時間はかからなかった。

 

他人事であれば

「あっそう」

で終わるのだけれども、かつての自分にもそんな経験があった。

でも最近の自分にはそれがない。

自分の中で何が変わったのだろうか。

 

確かに何か間違いがあれば、今までケアレスミスなんて言葉で片づけてきた部分があったかもしれない。

それは本当なのか。

本当だったら、ケアレスミスをするとわかっているのに毎回やってしまうというのはどういうことなのか。

 

気付いたら、私はSさんの所にいた。

 

「さっきのこと私も考えてみようと思ってさ。」

そこからSさんとの1時間の会話が始まった。

その内容を下記にまとめてみたい。

 

普段はどんな考え方をしていたのだろうか

まず私たちはそもそも普段どのようにして解いていたのかを考えてみた。

ちなみに生徒が間違った問題を尋ねると、

なんとその当たりまえのように解けていた問題というのは

What is this? これは何?

だったのだ。

並び替えの問題で、

What this is?

にしたということだった。

 

なるほど。完全に暗記していた内容だったのだなと。

それが普段はなんとなく、感覚で解いていたものが試験中わからなくなったのだ。

 

試験中は頭が回っていないのか。

ここで試験中は頭が回っていないのかという疑問があるかもしれない。

実際に試験で今まで解けなかった問題が解けたという経験を持っている人もいる。

頭が回っていない訳ではない。

 

私たちは一つ仮説を立ててみた。

試験中の集中力・頭の回転最強説。(テスト中ぼーっとしてるようなやつは知らん)

これを元にその他の事象についても考察していくこととした。

 

【仮説】試験中の集中力・頭の回転最強説

初見問題に関しては、集中力が高まっているので解けることがある。

限られた時間の中であることを考慮すると、日常よりも解ける確率は高いと考えられる。

 

しかし、一度覚えた内容・経験済の問題に関してはどうなのか。

普段当たりまえにできていることができないのではないか。

緊張していたり、非日常であればあるほど、感覚・当たり前すぎる記憶が飛んでしまうと恐らく元に戻らない。

次は見なおしによる悲しい事実を示していこう。

 

なぜ、見直しをしたことで間違ってしまうのか

これよくみます。

いつもできている子がなぜか試験の最後の見直しをして書きなおした所、書き直す前の答えが正解で間違ってしまうこと。

これは、普段疑問に思わない所を疑問に感じている証拠

試験中の集中力・頭の回転最強説と重ね合わせてみても矛盾は起こらない。

集中力・頭の回転が最強である故起こる出来事である。

 

例えば今回の問題であれば、

What is this?

What this is?

どっちだっけ?となる。

そのあと、頭の中で言ってみてしっくりくる方を選ぶのではないでしょうか。

 

試験中の「しっくりくる」とは何か

試験中は非日常です。

その中で自分が普段疑問に思わない所を疑問に思ってしまう。

 

原因は明らか。

完全な理解をしていないから(その答えに納得していないから)である。

どうして、What  this is?ではなくて、

What  is this?なのかということである。

 

試験中の考え方

疑問詞の後は疑問文が続く(疑問の意味を持たせない場合・疑問詞自体が主語の場合は除く)

これを理解していれば、疑問詞の後に肯定文のように、主語・述語と続く What  this is?は間違いであることに気付くだろう。

 

今、示した考え方を下記にまとめたい。

 

 

【まとめ】試験中・試験後の行動方法

まず、試験というものをはき違えてはいけない。

自分の理解していない部分に気付くためである。

テストの点が悪かったらむしろラッキー。

自分が本当の意味で解っていない部分を知ることができるからである。

自分の解っているところばかりたまたま出ていい結果でたところでその人にとってテストは何の成長ももたらさない。

これはわかってたんだけど・・とか言っている奴がいれば

わかってないから間違えたんだろうって言ってあげよう。

長い目でみればそれがその友達にとって最高の返答。

その優しさに気付かないような友達なんていらない。

 

テストの価値

①テスト前にする勉強

②テスト後に間違いなおしをして自分の弱かった部分を補強する

この2つだ。

この①②どちらも享受できていない人もいるし、①しか楽しめていない人もいる。

基本①をしなかった人で②をする人は未だ出会ったことがない。

テストとは、この2つのことを楽しんだ者勝ちのゲームだと思ってほしい。

 

つまるところ、試験を一番楽しんだのは、間違いなくこんなやつだ。

たくさん前以て勉強をして、見当違いのところがいっぱいでてきて最悪な点をとってやり直しをして、次に似たような問題を見たときに解けるようになっているという超ハッピー星人だ。

 

そして、いつしかこのハッピー星人も勉強の積み重ねによって気付けば学校でトップ層に上り詰めているのだ。

 

 

本当の理解とは

自分がその答えにちゃんと納得できているか。です。

とりあえず丸暗記ではなく、英語に関して言及するならば、

あー、私が文法を作る立場の人間だったとしてもそんな文法にするわと思えるかです。

論理的に理解できないものは自分で生み出すことはできません。

試験中に忘れたものを思い出す力は腑に落ちた知識のみです。

しっくりくるというあなたの感覚は日常であれば参考になる。しかし、非日常のあなたのしっくりくるは全く参考にしてはいけないものである。

間違い直しの時にこの事実をふと思い出してもらいたいものです。

 

 

自然と高校生の間に私自身はその思考に変わっていたようです。間違い直しの際に自分の中で感覚で書き換えるなんてそんなバカげたこと絶対にしません。明らかに論理的に考えた結果に沿って修正をします。感覚であれば直感で書いた自分の最初の解答を信用するべきではないかなと思います。

 

最後に。この議論をする相手に私を選んでくれたSさんに感謝の意を示したい。

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