文房具について

私は塾講師という仕事をしている。

私が勉強を好きになった理由は間違いなく文房具好きであったからだ。

こんな私に、母は成績が良ければ、いくらでも文房具を買い与えてくれた。

文具を買ってもらうために勉強したと言っても過言ではない。

買い与えてもらった文具に対して、母に文句を言われない程度に、私は勉強し続けた。

中学生・高校生と言えば、服やおしゃれに興味がわき、化粧品などを買うことに必死になりそうなところだが、私はほとんどのお金を文房具につぎ込んだ。

そんな私が社会人になり、どうなったかというと、もう一生かけても使えきれない量の文房具に囲まれて生活をしていることは言うまでもない。

大人が1日1本のビールを飲むが如く、1日1本のペンやシャーペンを私は買い続けている。

もう廃盤になってしまったシャーペンから、新商品まで、新しい形のものが出れば必ず購入し、使い心地を確かめている。色に悩んでしまった時は、複数本購入し、コレクションしている。

文房具というのは恐ろしく、腐らないという利点を持っている、万一、インクが使えなくなっていたとしても新しいインクに替えれば使うことができる。

加えて、シャーペンなんて消費期限もない。

新しいものばかりを使いたいというわけではなく、自分がレギュラーで使っているシャーペンは決まっている。ただ、新しいシャーペンが発売されると、どうしてもそれを試さずにはいられないのだ。

試すと言っても文具店の試し書き程度では満足できない。自分である程度の量を書いてみた上で、どうなのかということを判断したいと思うのだ。

いや、寧ろ、新発売の商品よりも今自分が使用しているシャーペンのほうが素晴らしいということを納得したいだけと言っても過言ではない。つまり、自分の中で、納得したいのだ。

唯一塾講師という仕事をしていることで助かるのは自分が「二流」認定したシャーペンを「三流以下」のシャーペンを持っている生徒にプレゼントできるところである。

シャーペンというのは勉強において重要である。文具は塾の費用などに比べるとはるかに安いものであるので、文具を買い与えまくってくれた親には本当に感謝しかない。

日本の文具は本当に大きな可能性を秘めている。日本に生まれたからこそ文具が好きになったと思うし、こだわるようになったのだと思う。

このまま文具が好きなまま、文具に囲まれながら、人生を全うしたいと思う日々である。

文具が好きではない人にぜひ、文具の世界を楽しんでもらいたいと思う。